主体とは:自己変容を通して社会変革の媒介者となる活動や過程
代謝的社会学は、社会における活動や関係性、制度に変革をもたらす歴史的な出来事や過程に参与することで変革の媒介者となり、また同時に自身も変容を遂げる主体を中心に据えた社会学です。このサイトは日本語の「主体」を社会学的な概念、活動的生命、そして生涯学習の旅として紹介することを目的としています。代謝的社会学は人間の再帰的な「主体となる」活動が社会変革の軸足であることを認識します。
気候変動・人工知能・ゲノム編集など多くの破壊的変革がつい最近まで想像できなかった現実をもたらす世界において、主体的であることや主体として行動するとはどういう意味を持つのだろうか?社会科学は人間が主体的になることや地球規模の繁栄にどう貢献できるのだろうか?
社会科学はその起源となる19世紀から人間の行動様式や社会の構造、歴史的発展の規則や多様性というものの理解に貢献してきました。人間や社会を対象とした学問でしたが、自然科学的な手続きを踏むことで科学の地位を獲得することに成功しました。しかしその結果、社会科学は「社会的事実」(デュルケーム)、「理念型」(ウェーバー)、「プロレタリアートの階級意識」(マルクス)などの抽象的な普遍性を追求することになり、生命を躍動したり育んだり、また生命とともに死する諸事から遠さがる結果を招いてしまいました。
このサイトは19世紀に生まれた社会科学の視点を反転させる社会学的概念として「主体」を紹介し、同時に私の主体的な活動の一つとして社会科学をボトムアップから(再)構築するために制作しました。私の活動はまた、次のような問いに導かれています:社会関係を分析するだけでなく育む社会学的手法をいかにして開発できるだろうか?所属する組織や制度において主体的に活動する能力を引き出す社会学的知識はいかにして構築できるだろうか? 理論と実践の二分法で分断せずに人間を包括的、変革的、そして統合的な成長へと促すように設計された社会科学とはどのようなものだろうか?
教育人間学を基盤とする社会学に向けて
長谷川 友香
ハセガワ ユカ
私は日本の近現代文化を専門とする社会・文化人類学者、そして日英翻訳者・通訳者です。アメリカからの大学生にジャパニーズポップカルチャーを教える仕事をしていましたが、教育が商品化されることに疑問を持ち、教育現場から退きました。その頃、京都学派の哲学に由来する教育人間学という学問に出会い、資本主義経済ではなく生涯学習と自己実現を育む教育哲学を基盤に社会学を構築するべきではないかと考えるようになりました。このサイトは、より持続可能な学問としての代謝的社会学を自分が主体となって追及しながら構築する過程を共有するために制作したプラットフォームです。